2024.02.26
警察庁が保有し公開している犯罪統計資料によると、21世紀を迎えた2001年(平成13年)の自動車窃盗認知件数は“63,275件”でした。
資料がある2001年以降での、自動車窃盗認知件数のピークは2003年の“64,223件”です。
(※警察庁:犯罪統計)https://www.npa.go.jp/publications/statistics/sousa/statistics.html
コラム執筆時、2023年12月時点の統計資料では2023年11月までの速報値が出ており2023年の自動車窃盗認知件数は“5,327件”とピークの2003年から91%も減少しています。
なぜ?自動車窃盗件数は減少したのか?
そもそも、どうして自動車を盗むのか?
そして犯人は自動車を盗んだだら、どこで、どうするのか?
資料と画像からひも解いてゆきます。
本コラム執筆時の少し前に、40系が新型アルファードとして登場しました。
下記の画像は、その当時には現行モデルだった30系アルファードです。
白色の30アルファードと、黒色の30アルファードの2台には何か変なところがあります。
どこでしょうか?
分かりますか?
では、ヒント1です。
国産自動車には、コーションプレートと呼ばれる金属板やシールが貼り付けられています。
コーションプレートには、車両の詳細な情報が記されています。
メーカー毎に記載事項は違うのですが、フル型式、排ガス規制コード、車台番号、エンジン型式、カラートリム番号、外装色、製造工場などが記載されています。
まあ、その車の名札や身分証明みたいなものですかね。
ちなみに、コーションプレートは自動車メーカーに依頼しても再発行されません。
コーションプレートが無くても、車検は通りますので問題は無いですが・・・
中古車流通の場合、コーションプレートが無い車の場合は2割程度は安くなる傾向があります。
白色の30アルファードと、黒色の30アルファードのコーションプレートの画像は下記のとおりです。
分かりますか?
では分かりやすい、ヒント2です
自動車には、車台番号と呼ばれる固有のユニーク番号が振り当てられています。
諸外国では、VINナンバーと呼ばれる番号と同様です。
車台番号はコーションプレートと違い、車台に直接打刻されています。
車台番号の打刻位置は、車種毎に相違しますが、30系アルファードの場合は運転席の足元かかと側に打刻してあります。
白色の30アルファードと、黒色の30アルファードの車台番号の画像は下記のとおりです。
分かりますか?
間違い探しの答えは、、 次の項でっ!
ヒントで、気づいた人は自動車にお詳しい!
正解はコーションプレートと車台番号が、20系アルファードになっているでした。
30系アルファードのコーションプレートは、シールになっていますが強力なシールなのでキレイにはがすのは至難の業です。
良くみると赤い矢印部分などは、シール端が剥がれかかっている箇所もありますね。
では、車台番号はどうなるのでしょうか?
一目見ても、どう交換されているのか、分かりにくいですね。
では、30系アルファードを部品生産した後にフロアーカーペットをはがした状態で見てみます。
これまた一目見ても、どう交換されているのか、分かりにくいですね。
では、少し加工を入れてみると・・・・
白色の30アルファードの車台番号打刻は、付け替えられていました!
では、黒色の30アルファードの車台番号打刻は、どうなっているのでしょうか?
白色の30系アルファードと同様に、車台番号打刻部分のある運転席足元付近の様子です。
黒色の30アルファードの車台番号打刻も、付け替えられていました!
これは盗難車用語で言う「目玉抜き」ですね。
もっとも「目玉抜き」は、同じ車種の同じ型式で行う事が多いと考えられいますが、この車は30系アルファードで目玉抜かれたのは20系アルファードです。
同じ車種ではありますが、違う型式で「目玉抜き」する理由はどこにあるのでしょうか?
その理由は、次の項で解説します。
そもそも自動車盗難台数は、この10数年間では激減しています。
激減の理由として考えられるのは、イモビライザー普及でしょうか。
イモビライザーとは、カギと車両にIDコード一致を求める電子装置です。
EU諸国では1995年に、イモビライザー装備義務化されました。
日本では2010年頃からイモビライザーの普及率が向上しました。
その後スマートキーの普及と共にスマートキーのトランスポンダー(電波送受信機)がイモビライザーの役目をしているので、単純な車両盗難は難しくなりました。
筆者でも、1990年代までの自動車なら90秒くらいあれば、鍵の無い車でもエンジン始動させて走らせる事が出来ます。
少しの知識があれば単純な構造ですし、比較的柔らかい金属の“丹入(たんにゅう)”と言う亜鉛とアルミの合金材で成形されておりキーシリンダー部を破壊することで、ハンドルロックも解除してエンジン始動させることが可能でした。
この頃の自動車泥棒は、力業です。
イモビライザー普及率が増加した2014年前後から、力業で自動車泥棒が出来なくなったのか割合は、自動車窃盗件数は減少しています。
また減少の理由として“車両捜査支援システム”(通称:Nシステム)の普及もあります。
Nシステムは、警察の捜査では手配車両の追跡に利用されています。
ナンバープレートを照合し、犯罪に使われた車や盗難車を探します。
1990年前から運用開始され、2015年時点では全国各地の設置台数は1690台とされています。
このイモビライザーとNシステムのコンボ成功なのか、その頃から検挙率は上がっています。
盗まれた車は… どうなるのか?
これは、盗んだ人しか分かりません・・・
しかし、過去事例から3パターンが考えられます。
一つ目のパータンは「天ぷらナンバー」です。
「天ぷらナンバー」とは、ナンバープレートを偽造したり盗んだりしたりして、盗んだ車に取り付ける行為を言います。
天ぷらは衣で中身が見えないことから、偽装ナンバープレートが取り付けられた車の実際が見えない状態の隠語です。
もちろん、廃車時にナンバープレートは返納義務があります。
正規のナンバープレートではない車両、つまり盗んだ車に「天ぷらナンバー」をつけて乗り回すパターンが考えられます。
違反や事故をしない、もしくは不審な走行をしない限り、普通に道路を走行していれば警察に止められることも無いのです。
多くの場合、ナンバープレートは偽造されます。
ナンバープレート数字「1」や「・」を切り取り、「8」や「0」を取付けるなどして実際には存在しない番号を偽造します。
主要な道路上には“Nシステム”と呼ばれるナンバー読み取り装置が設置されています。
事件や事故などに使われた犯罪車両や取締まりに利用されると言われていますが、警察庁の運用方法は機密事項のために公表されていません。
公表されてないとは言え“Nシステム”で監視される以上、長期に偽造ナンバープレートで盗難車を乗り回すことは犯罪者もリスクを強く感じるでしょう。
それでも、スマートキーの情報の書換は可能なようで、高級車のレクサスを偽造ナンバーで乗り回しているケースもあります。
近年の場合では、盗難車を運ぶ際に短期的に「天ぷらナンバー」を使用している模様です。
二つ目のパターンは「目玉抜き」です。
「目玉抜き」とは、盗難車と同じ車種の事故車を正規ルートなどから入手し、車台番号打刻部分とコーションプレートを外して、盗難車に貼り替えする行為です。
ただ陸運支局での車検時には車台番号の確認もあるので、画像のように打刻部付近の付け替えでは見つかる可能性が高いです。
似た隠語で「ニコイチ」(二個一)とか「起こし」と言うものもあります。
複数台の事故車から使えるパーツを集めて、溶接し「接合車」として1台の車に仕上げる方法です。
フロント事故の車と、リア事故の車、半分に切ってつなげるイメージが理解しやすいでしょうか。
正規の書類がそろう複数台の事故車などから「事故車起こし」をすることは合法です。
書類もそろうので、保安基準をクリアーすれば車検も通ります。
ただ一般の中古車屋さんでは「ニコイチ」は「接合車」と査定されるので、取扱いしない業者がほとんどです。
複数の車から1台の車を仕上げるニコイチより、盗難車を使用するニコイチは正規の書類がそろう1台の事故車を確保すれば良いのでコストが低くなります。
三つ目のパターンは「不正輸出」です。
今回の、白色の30アルファードと、黒色の30アルファードは「不正輸出」される水際で検挙されたケースです。
「不正輸出」されるパターンは“中古車輸出”と“中古部品輸出”の、二通りあります。
まずは“中古車輸出”のケースです。
日本から中古車を輸出する場合、自動車運搬船(RO-RO船)と呼ばれるフェリーのように自動車が自走して船に乗り込みし船に積み込みする方法があります。
しかし自動車運搬船(RO-RO船)の航路は限られており、仕向け地によっては便数が少なく余剰スペースが無いとか、そもそも就航していない場合もあります。
そのため海上コンテナに、中古車を積み込みして輸出する方法もあります。
海上コンテナを利用する場合でも、自動車運搬船を利用する場合でも、通関検査があります。
自動車運搬船の中古車通関業務は、実際に船に積み込みする際に実施するのでは効率が悪くなることから、保税エリアにて検査機関や通関業者が輸出通関の手続きをします。
その輸出通関の手続き時には、輸出申請している車台番号と輸出車両の現物確認が実施されます。
車台番号を確認されるので「目玉抜き」などで盗難車に貼り替えされていたり、車台番号の型式と違う型式の車の場合は、当然ながら輸出許可書は発行されません。
しかし海上コンテナを利用する場合は、どうでしょうか?
海上コンテナを利用する中古車通関業務は、積み込みした際の画像を提出するなどして申請します。
積込み後の海上コンテナの中身は見えないことから、通関検査時にはエックス線検査されます。
エックス線検査や通関時に不審だと判断されれば、コンテナを開けてデバン現物監査となります。
エックス線検査をすり抜ける不正輸出の手法が「新旧目玉抜き」です。
正規の書類がそろう旧型の20系アルファードで輸出申請をします。
通関用に積込み前の旧型の20系アルファード車体画像を撮影します。
旧型の20系アルファードから、車台番号とコーションプレートを切り取りします。
新型の30系アルファードに、旧型の20系アルファードの車台番号とコーションプレートを貼り付けます。
偽装された車台番号の打刻部分を、通関申請用に画像を撮影します。
一旦、旧型の20系アルファードを海上コンテナに積み込みし、積み込み途中の画像を撮影します。
その後、盗難車である新型の30系アルファードを積み込みして、海上コンテナの扉を閉めます。
新旧のアルファードのサイズは似ています。
30系アルファード:全長4,945mm、全幅1,850mm、全高1,935mm
20系アルファード:全長4,885mm、全幅1,840mm、全高1,900mm
数センチ大きさが違う程度なのです。
積込み時の画像を、上手に偽装すればエックス線検査もすり抜けてしまうのかもしれません。
つまり、ダミー車両を準備した、替え玉車両輸出ということです。
次に、“中古部品輸出”のケースです。
輸入する国の規制で中古車輸入が禁止されていたり、高額な関税で事実上の中古車輸入規制が敷かれている場合があります。
しかし、それらの中古車輸入規制がある国でも、中古部品の規制が緩い場合があります。
そのような場合、KD(Knock Down:ノックダウン)方式が行われることが多いです。
中古車ノックダウンとは、例えば中古車をエンジン、足回り、ボディなどを別々の部品にして海上コンテナに積み込みして輸出する方法です。
中古車をエンジン、足回り、ボディをの別々の部品にする行為は、自動車リサイクル法では“解体行為”とされていますので電子マニフェストによる報告が必要です。
海上コンテナによる中古車輸出と同様に、中古部品の通関業務は、積み込みした際の画像を提出するなどして申請します。
積込み後の海上コンテナの中身は見えないことから、通関検査時にはエックス線検査されます。
エックス線検査や通関時に不審だと判断されれば、コンテナを開けてデバン現物監査となります。
中古車の不正輸出手法と同様です。
正規書類がそろったサイズが似た車両を準備して、積込みする車両と入れ替えるなどの偽装を施した積込み時の画像を、上手に偽装すればエックス線検査もすり抜けてしまうのかもしれません。
そもそも自動車が盗難にされたら、その車はどこへ行くのでしょうか?
木を隠すなら森の中へ…
日本国内で盗まれた車の大半が、国外に持ち出されていると考えられます。
前述の“Nシステム”でナンバーが監視される以上、盗んだら可能な限り素早く処理されて海外に持ち出されます。
日本国内での処理場所は「ヤード」です。
日本語だと、土場とか場所とかのイメージの言葉でしょうか。
自動車業界でのヤードは、、、 少し悪いイメージが出来上がりつつありますね。
森の中の木々も、悪い木ばかりでは無いと思うのですが、1本でも悪い木があればそのヤードは不法ヤードです。
どうやって、ヤードは出来て来たのでしょうか?
下記の表は、日本から海外に輸出されてゆく国々の年別-中古車輸出台数グラフです。
数字の出元は、財務省貿易統計です。
しかしこの統計には、少額貨物は含まれません。
少額貨物とは、何でしょうか?
そもそも中古車輸出の歴史は旧ソ連、ロシア船員のお土産としての携行品輸出から盛んになりました。
1980年代後半の、バブル経済時には新車販売台数が500万台越えであり、良質な中古車が安価に大量に流通していました。
2024年の平均車齢は17年弱ですが、当時は10年10万キロで廃車になることも当たり前な時代でした。
木材などを日本に輸入した帰港時に、ロシア船員のお土産としての携行品輸出として日本の中古車が輸出されました。
当時は5万円以下の場合、通関申請や手続きを簡易的に少額貨物として輸出が実施できました。
1990年頃には15万台~20万台の中古車が、富山港、伏木富山港、新潟港などから携行品輸出されました。
また、富山の港付近には、輸出向け中古車販売店が多数存在しました。
当初は、日本人経営の輸出向け中古車販売店でしたが、徐々にパキスタン、スリランカ、シリア、バングラディシュ、ブラジルなどの国の方々が経営する輸出向け中古車販売店が多くなりました。
2000年頃には、8割方がパキスタン人経営の輸出向け中古車販売店になっていたようです。
なぜなら彼ら、在日外国人コミュニティの集荷能力は素晴らしく、輸出向け人気車種を街角の自動車屋さんや保有者から探索して買い取りしてマージンを稼いでいました。
中古車販売店のオーナーが、希望している車種と値段を在日外国人コミュニティに伝えると、自動車業界の人でなくても情報が収集されて行き1週間もあれば希望している値段で希望車種が見つかる事も当たり前と言われていました。
ロシア船員達にとって、人気車種がラインナップされ良質な中古車そろっているパキスタン人経営のお店の方が人気が高かいのも当然ですね。
ロシア船員たちは、日本の中古車をロシアに持ち込んだ後に自分や家族で使用するだけではなく販売することで稼いでいたようです。
徐々に規模が大きくなると、ウラジオストク郊外にはグリーンコーナーと呼ばれる広大な中古車市場が形成されました。
現在では、インターネットによる販売が中心になったので、グリーンコーナーは閑散としているとのことですが…
画像を観て頂ければ“木を隠すなら森の中へ”の通りでは無いでしょうか。
これはロシア向けに限った事ではありません。
日本の中古車は、世界中で人気があった時代でした。
また、この頃は自動車盗難も多いですが、カーオーディオやタイヤの盗難も多い時代でした。
輸出向けの中古車に、高級なカーオーディオや、状態の良いアルミホイールとタイヤが付いていた方が人気高いですからね。
携行品輸出の場合は、領収書と抹消車検証の写しだけで少額輸出が可能だった時代です。
つまり日本の正規の車検証は無くても、向こうの国々でのナンバー取得が可能だと言うことです。
諸外国ではVIN番号にあたる車台番号とエンジン番号などで、ナンバーが取得出来るのであれば「目玉抜き入替」での車両も正規な車となりますよね。
大量の中古車が、日本のナンバー登録制度と関係無しに輸出される。
そのためなのか2022年の11倍以上、2001年の自動車窃盗認知件数は63,275件と非常に多い件数でした。
警察も、自動車窃盗事件防止に尽力したこともありますが、2005年の自動車リサイクル法施工に合わせて、道路運送車両法第十五条の二に輸出抹消登録制度が出来きました。
車両を輸出する場合、日本のナンバー登録制度で“輸出抹消”を必要としたことから、盗難車の件数は減少してゆきました。
しかし減少した分、手口は巧妙になったのかもしれません。
盗難した車を保管したり、加工したり、コンテナに積み込みするには「ヤード」に運び入れて処理するようですね。
その処理は、盗難した当日に実施されている事も多いようです。
そしてヤードの所有者は日本人だけではなく、在日外国人のヤードが多いのは2000年頃までのロシア向け携行品輸出の名残なのかもしれません。
2024年現在、許可を受けた自動車解体業者は6,000事業所以上あります。
実働している、事業所は約4,000社です。
関東地区では約25%が、在日外国人名義の事業所となっています。
全国にも外国人ヤードが増えており、日本人経営のヤードも含めた監査体制が求められています。
例えば岐阜県では、不法ヤードやヤード内での不法行為を取り締まるために“使用済金属類営業条例”を施行しています。
同様に、
千葉県では“特定自動車部品ヤード保管条例”
鳥取県では“使用済物品放置防止条例”
愛知県では“ヤードにおける盗難自動車解体防止条例”
三重県では“盗難自動車の解体及び輸出の防止等に関する条例”
埼玉県では“埼玉県ヤードにおける自動車等の適正な取扱いの確保に関する条例”
茨木県では“茨城県ヤードにおける自動車の適正な取扱いの確保に関する条例”
兵庫県三木市では“三木市におけるヤード内保管等の適正化に関する条例”
茨木県坂東市では“坂東市特定自動車部品のヤード内保管等の適正化に関する条例”
などが、施行されています。
条例により、行政や捜査機関の立ち入りを容易にすると共に、抑制力を働かせるのが目的のようですが…
後手後手になっている感は、否めませんよね。
ちなみに2023年の輸出向け仕向け地と台数は、下記のとおりです
2023年の輸出国ランキング
順位 | 仕向け地 | 台数 |
1位 | ロシア | 218,323台 |
2位 | U.A.E | 204,503台 |
3位 | ニュージーランド | 114,301台 |
4位 | タンザニア | 81,697台 |
5位 | モンゴル | 79,771台 |
6位 | チリ | 65,699台 |
7位 | ケニア | 61,177台 |
8位 | 南アフリカ | 57,036台 |
9位 | タイ | 55,105台 |
10位 | フィリピン | 35,282台 |
11位 | マレーシア | 35,068台 |
12位 | ジャマイカ | 33,586台 |
13位 | キプロス | 29,903台 |
14位 | ウガンダ | 29,682台 |
15位 | イギリス | 27,558台 |
16位 | パキスタン | 27,419台 |
17位 | ザンビア | 23,562台 |
18位 | オーストラリア | 22,526台 |
19位 | ミャンマー | 22,320台 |
20位 | バングラデシュ | 20,941台 |
実際にランクルプラドを盗まれた方に、お話を伺ったことがあります。
お取引先さまの方でしたが、弊社に訪問頂いた際にプラドじゃない車で来社されました。
「朝、起きたらプラドが無くなっていた…」
その話をお聞きしてから、1年以上経過していますが・・・
プラドが戻って来たという話は、お聞きしていません。
2001年頃の、自動車窃盗事件における検挙率は約20%前後程度と低い検挙率でした。
2022年の自動車窃盗検挙率は、45.6%でした。
ただ検挙されたことと、盗まれた車が戻ってくることは別問題です。
盗まれた車の多くは、ヤードなどに運び込まれると思われます。
ヤード内では「目玉抜き」のような加工だけではなく、「なます切り」「ハーフカット」「ボディシェル」などの加工がされます。
目玉抜きは違法ですが、なます切りや、ハーフカット、ボディシェルは自動車リサイクル法に則れば適法行為であります。
愛車を盗んだ犯人が逮捕された時に、愛車が無事な状態なのか?
ヤードに運び入れたら、証拠を残すよりも早く処理して出荷するのが犯人の行動です。
すんなりと、戻ってくるかは微妙ですね。
一般社団法人日本損害保険協会が盗難防止の日(10月7日)の取組みとして公表している、自動車盗難事故実態調査を参照します。
主要な損害保険にて構成される、同団体が2020年までは盗難車が発見された件数を公表していました。
なぜか、直近の2022年公表分には盗難車発見件数は未記載でしたので、データーとしては古いですが掲載のある調査結果5ヶ月間平均を算出しました。
その一般社団法人日本損害保険協会の公表結果によると、盗難車が戻ってくる割合は19.7%でした。
つまり、5台に1台しか戻って来ていません。
その戻ってきた盗難車が無事な姿なのでしょうか?
支払われた保険金の平均は150万円以上ですので、代車費用だけではなく… なんらかの補修が必要になったものと考えられます。
つまり盗まれた車のほとんどは無事には戻ってこない… と、言うことです。
その一般社団法人日本損害保険協会は、盗まれた車の車名も公表しています。
2020年~2022年の盗まれた車の車名ランキングは、以下の通りです。
2020年の盗まれた車の車名ランキング
順位 | 車名 | 台数 |
1位 | プリウス | 383台 |
2位 | ランドクルーザー(プラド含む) | 275台 |
3位 | レクサスLX | 175台 |
4位 | クラウン | 146台 |
5位 | アルファード | 139台 |
6位 | レクサスLS | 108台 |
7位 | ハイエース | 82台 |
8位 | ヴェルファイア | 74台 |
9位 | レクサスRX | 66台 |
10位 | レクサスGS | 48台 |
10位 | ハリアー | 48台 |
その他 | 1,420台 | |
合計 | 2,964台 |
2021年の盗まれた車の車名ランキング
順位 | 車名 | 台数 |
1位 | ランドクルーザー(プラド含む) | 331台 |
2位 | プリウス | 266台 |
3位 | レクサスLX | 156台 |
4位 | アルファード | 138台 |
5位 | クラウン | 81台 |
6位 | ハイエース | 78台 |
7位 | レクサスRX | 58台 |
8位 | ヴェルファイア | 41台 |
9位 | レクサスLS | 36台 |
9位 | ハリアー | 36台 |
その他 | 1,204台 | |
合計 | 2,425台 |
2022年の盗まれた車の車名ランキング
順位 | 車名 | 台数 |
1位 | ランドクルーザー(プラド含む) | 450台 |
2位 | プリウス | 282台 |
3位 | アルファード | 184台 |
4位 | レクサスLX | 156台 |
5位 | レクサスRX | 90台 |
6位 | ハイエース | 83台 |
7位 | クラウン | 72台 |
8位 | アクア | 55台 |
9位 | C-HR | 43台 |
10位 | レクサスES | 38台 |
その他 | 1,203台 | |
合計 | 2,656台 |
2020年~2022年:盗難車の車名ランキング
順位 | 車名 | 台数 |
1位 | ランドクルーザー(プラド含む) | 1,056台 |
2位 | プリウス | 931台 |
3位 | レクサスLX | 487台 |
4位 | アルファード | 461台 |
5位 | クラウン | 299台 |
6位 | ハイエース | 243台 |
7位 | レクサスRX | 214台 |
8位 | レクサスLS | 144台 |
9位 | ヴェルファイア | 115台 |
10位 | ハリアー | 84台 |
11位 | アクア | 55台 |
12位 | レクサスGS | 48台 |
13位 | C-HR | 43台 |
14位 | レクサスES | 38台 |
3年間上位の合計 | 3,827台 |
一般社団法人日本損害保険協会の、盗まれた車の車名2023年が公表されました(2024.3月追記)
1位はランドクルーザー(プラド含む)ですが、2位のアルファードとの差はわずか19台となっています。
本位記事でも、2台のアルファード盗難の事例画像を上げましたが、オーナー皆様は要注意ですね。
2023年の盗まれた車の車名ランキング
順位 | 車名 | 台数 |
1位 | ランドクルーザー(プラド含む) | 383台 |
2位 | アルファード | 364台 |
3位 | プリウス | 307台 |
4位 | レクサスLX | 120台 |
5位 | ハイエース | 60台 |
6位 | クラウン | 53台 |
7位 | ヴェルファイア | 43台 |
8位 | レクサスRX | 42台 |
9位 | ハリアー | 37台 |
9位 | メルセデスベンツ | 37台 |
その他 | 1,151台 | |
合計 | 2,597台 |
少し昔は、ハイエースの盗難が多いイメージでした。
しかし、2020年から2022年の3年間を集計してみるとランドクルーザー(プラド含む)が1位でした。
お気づきでしょうか?圧倒的にトヨタ車が大半を占めています。
盗みやすいのでは無く、リスクを冒してでも欲しいのが、捕まるかもしれなくても欲しい、確実に売れるのが、トヨタ車なのでしょうね。
古い120系、95系、78系のプラドの場合は、せいぜい物理的な鍵へのアクセスとイモビライザーを誤魔化す機器があれば泥棒出来たと考えられます。
150系のランドクルーザープラドの場合、CANインベーダー(Controller Area Network Invader:コントロールエリアネットワークインベーダー)と言う手口で盗難されます。
CANインベーダーの語源は、自動車をコントロール制御する電子制御装置を、侵略(インベーダー)すると言う意味です。
つまり電子制御された車を、ハッキングして乗っ取りする感じです。
悪い表現を使えば、割と簡単に盗めることから・・・
出荷ギリギリに、車両を盗んでヤードで即加工。
加工したら、コンテナに積み込み即出荷。
船が出航すれば、盗まれた車は戻って来ません。
運良く戻って来ても、無事な姿であることは少ない可能性が多いようですね。
朝起きたら、愛車が無くなっていた… そんな盗難にあった場合、どうすれば良いのでしょうか?
車が盗まれた場合でも、4月1日時点で廃車手続きをしてなければ“自動車税”の納付が求められます。
縦割り行政のため、盗難届を出したからOKと言う訳ではありません。
具体的な手順としては、下記のとおりです。
①警察に電話する
②加入している保険会社に連絡
③ローン会社に連絡(ローンで購入した場合)
④県税事務所にて、課税を保留
⑤盗難された車が見つからない場合、陸運支局にて廃車手続きこの①から⑤を進めて行くことになります。
順番に、説明てゆきます。
・何署に届けたか?(〇〇警察署)
・受理番号を控える
この、二つが重要です。110番、警察に電話しますと「〇〇署です、事故ですか?事件ですか?」などと聞かれます。
アセる気持ちはありますが「車が盗まれた」と、伝えてください。
もしかして盗すまれたのは、間違いかもしれない、、、
間違いであれば、その旨を伝えれば大丈夫なので、迷わず110番通報しましょう。
早く連絡すれば、盗難車発見の可能性高くなります。
警察からは、根掘り葉掘り聞かれます。
事前に整理しておくと良いですが、車と共に車検証などの重要な車両データーも盗まれている事がほとんどなので把握していない事も多いと思います。
任意保険加入の際などに、車検証コピーかスマホで撮影すると良いかもしれませんね。
警察に盗難届け“盗難被害届”を受理してもらう場合に聞かれる事項として、
・通報したあなたの氏名/住所/電話番号
・盗まれた車の、車名/外装色/年式
・ナンバープレートの番号(自動車登録番号)
・いつ、どこで、どのような状況で盗まれたのか?
・車の特徴はあるのか?(アルミホイールとかステッカーとかの見た目)
・車内搭載物の有無
・盗難以外の被害(壁や門の破損等は?)もし把握しているなら、ナンバープレートの番号の他に車台番号なども伝える事ができると良いでしょう。
テレビドラマ等で見る“鑑識官”などが来て、現場検証をする… などは、ありません。
被害が物だけの場合は、聴取されてお終いな事がほとんどです。
盗難阻止で窃盗犯と接触してケガをしたとか、盗難以外の被害が甚大な場合だけ現場検証で鑑識が来ます。
淡々と事情聴取されたら“受理番号”が伝えられます。
この盗難を警察が受理したことを証する番号なので、必ずメモに控えてください。後で実施する、保険手続きや廃車手続きには、どこの警察署に届けたか?と、受理番号は必須事項となります。
・車両保険に加入してる場合のみ・対人対物保険のみに加入していた場合は不要
ご自身が加入している、任意保険の内容はご存知でしょうか?
自動車保険を大きく分類すると、
・対人賠償保険(相手の死傷に対する損害の補償)
・対物賠償保険(相手の所有物への損害を補償)
・車両保険 (自分の車の損害を補償)
の3種類になります。対人対物は、同時に加入していることが多いですよね。
車両保険に加入すると、保険料が高くなるので車両保険無しと言う方も多いです。
自動車盗難にあった場合、車両保険に加入していなければ保険は適応ではありません。
車両保険に加入している方は、損害保険会社のコールセンターに連絡しましょう。
コールセンターのオペレーターさんに、
・保険加入の氏名/連絡先
・ナンバープレートの番号
を伝えれば、保険加入の確認がなされます。
・どこの警察署に届けたか
・受理番号
・いつ、どこで、どのような状況で盗まれたのか?
・盗難以外の被害(壁や門の破損等は?)
などが、ヒアリングされます。
保険金は、損害保険会社のアジャスター(調査員)が盗難現場や状況調査の完了後に支払いされます。
盗難車が発見される可能性もあるので、数か月経過しても盗まれた車が発見されず、盗難詐欺などの疑惑が無い場合に調査終了となります。
保険金の受け取りには、車検証の名義変更などの手続きを行う必要がありますので、必要な書類を取り揃えます。
損害保険会社の指示に従ってください。
必要な書類が完備して提出後に、保険金の受け取りがなされます。
ただ、保険等級は1等級下がります。
また、事故有り係数適応期間は1年加算されます。
被害者なのに、翌年の保険料が上がるのは泣き面に蜂ですよね・・・
・所有者が本人では無い場合・割賦、リース、オートローン、残価設定などを利用している場合
ローンや、リースを利用した場合、使用者が本人でも、その車の所有者はローン会社/リース会社である事がほとんどです。
従って、自動車盗難にあった場合は所有者に連絡する必要があります。
ローン会社/リース会社に
・利用者の氏名/連絡先
・ナンバープレートの番号
を伝えれば、利用者の確認がなされます。
・どこの警察署に届けたか
・受理番号
・車両保険加入の有無
を伝えましょう。
・車両の残価と、支払い期間
を確認して、残りの支払いをどうするのかを話し合いましょう。
車両の残価を支払う必要があるので、車両保険に加入している場合は、その旨をつたえましょう。
ただ、残価と保険金が等しいとは限らないので、不足がある場合もあり得ます。
残価がある場合は、支払い続ける必要があります。
残価ある場合は、所有権解除に応じてくれないので、名義変更や一時抹消登録は出来ません。
自動車税の納付義務が発生する、年度を越して残価支払いが発生する場合は、次の“④県税事務所にて、課税を保留”を参照して、せめて自動車税の支払いを止めましょう。
自動車盗難に限らず、自動車事故などで全損になった場合でも残価支払いは残ります。
割賦ローンなどで高額な車両を購入する場合は、車両保険に加入することをお勧めします。
・各県税事務所で手続き・軽自動車は市役所で手続き警察にて、自動車の盗難被害届け出が受理されている場合、自動車税窓口にて「申立書」を提出しましょう。
この申し立てにより、盗難にあった翌月からの課税を保留することができます。
また盗難にあった車が発見された場合、「発見の申立書」を提出が必要となります。
発見された盗難車が、警察に“証拠物件”として押収される場合があります。
その場合、県税事務所に相談しましょう。
車両が返してもらえる時期は、その事件によって相違するので、ケースバイケースとなります。
盗難による自動車税課税を保留申立ての必要な書類や手順として
・申立書
・申立てる人の身分証明書の写し(運転免許証など)
・いつ、どこで盗まれたのか?
・どこの警察署に届けたか
・盗難被害届受理番号(受理番号)
・盗難(発見)の状況
を、申立書に記載することになります。
不用な自動車税の支払いをするのは嫌なので、しっかりと手続きをしましょう。
・自動車税の課税保留を実施していれば、慌てないでOK・ローン会社などから、所有権解除書類を入手した場合は早めに手続き・抹消登録でも、自動車税の課税は止まります
通常の抹消登録手続きには、車検証やナンバープレートが必要です。
しかし、自動車が盗難にあった場合は、車検証やナンバープレートも盗まれているでしょう。
その場合でも「理由書」を添えて手続きすれば、廃車手続きが可能になります。
ただ注意すべき点は、抹消登録した後に盗難車が発見された場合で再度乗ることになった場合です。
一時抹消登録しているので、再登録… つまり、「中古新規登録」を行うことになります。
車検検査を実施して、新しいナンバープレートを取得することになります。車が盗まれる前に、どれだけ車検が残っていても関係ありません。
自動車税、自動車重量税、車検にかかる法定費用や整備代などを新規の中古車登録費用として支払う必要があります。
従って“④県税事務所にて、課税を保留”を実施した場合、慌て廃車手続きをしない方が良いでしょう。
盗難された場合の廃車手続きは、一時抹消登録しか出来ません。
永久抹消手続きが出来ないのは、盗難された現物車台が無いので解体した証明が出来ないからです。
解体証明とは、自動車リサイクルシステムでの解体報告記録日を持ってして初めて有効となります。
では自動車が盗難された場合の、一時抹消登録に必要な手続きはどうすればいいのか?
そもそも、車両と一緒に自動車検査証も盗まれているのに・・・
その場合は、陸運支局で下記の手順となります。
・現在登録事項等証明書を取得する(車検証本通が存在しない場合)
・理由書(盗難被害届受理番号「受理番号」を記載して、ナンバープレートや車検証が盗難された旨を記載)
・印鑑登録証明書(所有者の名義)
・実印(印鑑証明書と同じもの)
・委任状(代理人が申請する場合必要)
・申請用紙(陸運支局で入手可能です)準備する、印鑑証明書や実印は所有者のものが必要なのは通常とおりです。
リース会社や、ディラーなどの販売店名義の場合は、所有権解除の手続きが先に必要です。
廃車手続きが完了すると“登録識別情報等通知書”(通称:一時抹消登録の車検証)が発行されます。
この登録識別情報等通知書は、再発行が出来ません。
もし盗難された車両が発見されて再登録する場合、登録識別情報等通知書が必須書類となります。
どれだけ理由を並べても、再発行してもらえないので無くさないように保管しておきましょう。
自動車が盗まれた場合、警察は動いてくれます。
無事に犯人逮捕されたり、盗まれた車両が発見されることあります。
しかし盗まれない事が、一番良いことです。
愛車が盗まれないために、何をすべきか?自動車における、最初の防犯対策は“鍵(キー)”でしょう。
鍵には、固有の鍵溝が刻まれており、鍵穴と一致した場合に鍵が回るようになります。
しかし物理的な鍵は複製したり鍵穴を破壊したりすることで、その手の人たちにとっては容易に盗むことが可能です。
事実、盗難被害車の4台に3台は、鍵(キー)無しの状況での犯行に遭っています。
メーカー純正で装備される盗難防止装置には“イモビライザー”があります。
物理的なキー(鍵)とキーシリンダー(鍵穴)だけでなく、電子信号の鍵でも合わせるイメージでしょうか。
しかし、電子信号の鍵を複製する“イモビカッター”と言う機器が闇で出回っているため万能なモノではありません。
最近の自動車のキー(鍵)は、鍵溝を鍵穴に差し込みしないでも始動する“スマートキー”も多くなってきました。
いわゆる、プッシュスタートでエンジンが始動するタイプの車です。
これも電子信号の鍵、つまり車両のIDとスマートキーを合わせるイモビライザーです。
それらのコントロールをするのが、CAN(Controller Area Network:コントロールエリアネットワーク)です。
そのCANを侵略するのが、CANインベーダー(Controller Area Network Invader:コントロールエリアネットワークインベーダー)と言う手口なのです。
カーショップなどでは、CANインベーダー防止機器なども販売されているようですが万能ではありません。
それでは、音で防御するセキュリティアラームはどうでしょうか?
車に強い衝撃なのがある場合に、セキュリティアラームは作動します。しかし誤動作も多いのも事実です。
そのため感知感度を下げたりして、有効に活用できなかったりします。
そしてセキュリティアラームの解除方法の多くは、自動車のキー(鍵)のオンオフであったりします。
つまり他の電子的な防犯対策と同様に、自動車窃盗犯への障壁は低い物となります。
つまり物理的な防犯対策や電子的な防犯対策も、その手の盗難を実行する輩にとっては問題無いに等しいとも言えます。
では盗難を実行する人たちの、リスクと言えるモノは無いのでしょうか?
窃盗犯が最初のリスクと考えるのは、犯行現場を発見されることでは無いでしょうか?
従って、犯行に必要な時間は短ければ短いほどリスクが低いと考えられます。
つまり犯行時間が長くなるような仕組みを考えると、防犯対策になるということです。
自動車本体の防犯対策を無効にする機器が出回っている以上、自動車本体以外の防犯対策を施す必要があります。
例えば、“ハンドルロックバー”や“タイヤロック”などはハンドルやタイヤを、それ以上回らないように固定する器具です。
それらの機器は、ダイヤルロックの物理的な破壊やピッキングは可能ですが、開錠するまでにはある程度の時間が必要です。
しかし複数の窃盗犯が同時に車両本体への可能と防犯ロック破壊にあたれば、犯行時間は短縮出来ます。
では駐車場に、ガレージシャッターはどうでしょうか?
ガレージシャッターの鍵穴は、自動車の鍵穴より寂しい防犯対策である事が多いようです。
また、ガレージシャッターのロック部は、それほど頑丈な作りではなく、一定の知識があれば容易にロック解除可能です。
盗難対象になりがちな、高級車のオーナーのガレージシャッターなら電気的な自動シャッターも多いですよね。
リモコンで自動シャッターの開閉が可能な以上、リモコンの電子的複製も容易なことでもあります。
しかしガレージシャッターの有る無しは、ある程度の犯行時間が長くなる可能性があります。
ガレージシャッターの設置が難しい場合、車止めのポールを設置する方法もあります。
チェーンポールなどもありますが、鍵が南京錠程度では、開錠や破壊が容易なのでイマイチでありますが、無いよりかは抑止力になります。
これらの対策で少しでも、車両本体へのアクセスの時間が長くなるようにしたい所です。
他の方法として、人目につきやすい駐車場や防犯カメラ設置、盗まれた後の追跡用GPSの導入などがあります。
電源コンセントなどが隠された、電源供給に配慮したセンサーライトなども有効です。
・ハンドルロック/タイヤロック等のセキュリティ機器を使用
・ガレージシャッターの車庫
・車止めポールの設置
・防犯カメラの使用
・センサーライトの設置
これらの対策を複合させることが、最大の防衛と考えられます。
冒頭で記載したように、近年では自動車窃盗は減少傾向にあります。
しかし犯行に及ぶのは“犯罪グループ”である事が多いです。組織的に、下見/窃盗/ヤードへ運搬/加工/販売を別々の犯人が実行するので警察も全容がつかめていないようです。
考える防犯対策はそれを上回る犯行手口が開発されるので、いたちごっこ状態ですかね。
もう、愛車の回りにテトラポットでも置いて重機でないと動かせないようにするぐらいですかね(笑)
もちろん、車から離れる時には、窓を閉めて施錠をするのが基本です。
また車内に、現金やカバンを置くとか、スペアキーを置くのは止めましょう。
路上駐車を避け、見えるような位置に防犯カメラを設置したり、管理された駐車場にしましょう。
それでも盗まれる車は、ある事でしょう。
良いか悪いか中国では監視カメラが膨大な数に膨れ上がったため、ひったくり等の犯罪が激減しました。
例えばナンバープレート自動車読み取りシステムをAI化して、盗難した自動車の運搬時に摘発することが望まれます。
なによりの抑止力は、盗まれた車が売れない事でしょう。
窃盗自動車の不正流通をさせないためには、警察や行政の抜き打ちでのヤード立ち入り監査でしょう。
数年前に岐阜県関市で自動車窃盗で摘発されたヤードは許可を得た自動車解体業のヤードでした。
オーナーであったパキスタン出身の方は、適法な解体業も営む傍らで自動車泥棒も実行していました。
不正ヤードの多くは、適切に自動車リサイクル工場を運営している私たちと似ている外観です。
よく見れば、私たちとの違いは容易に理解出来ますが、普通に見れば怪しい工場に見えることでしょう。
真面目に解体業を営んでいる私たちにとって、警察や行政の抜き打ちでの立ち入り監査は煩わしいことです。
しかし、頻繁に実施することで盗難車の流通抑止力になることは間違いないと考えます。
2000年の頃までの自動車泥棒は、コンビニ駐車場でエンジンかけっぱなしの車を盗んだりする計画性の低い成り行きな犯行や、ナンバープレートを付替えて乗り回した後に埠頭公園の脇に不法投棄するなどの犯行が多かったようです。
またオーディオやナビゲーションなどの車内の装備品を含めた、部品目当ての自動車泥棒も横行していました。
冒頭で記載したとおり、自動車窃盗認知件数のピークは2003年の“64,223件”です。
それが、2023年11月までの自動車窃盗認知件数は“5,327件”とピークの2003年から91%も減少しました。
イモビライザーの普及による、行き当たりばったりな自動車泥棒が出来なくなったことが要因でしょう。
また、Nシステムの普及により、盗難車の発見が早まったことも大きな要因です。
計画性の低い自動車泥棒は減りました。
一方で、犯罪グループによる組織的で計画的な自動車窃盗が多くなっています。
盗まれる車種は、人気の高い車種を狙い撃ちしています。
末端の実行犯は組織の全体像は知らぬまま、実行犯に加わらないボス達だけが甘い汁を吸う。
下見する集団は、自動車買取りを実際に行う傍らで、どの街のどの駐車場に何時頃にお目当て車両が駐車しているのかを知っています。
窃盗犯は、どの年式のどの型式にどのようなセキュリティが装着されているのか、その解除方法や機器を知っています。
運搬する場合、どの主要な道路にNシステムがあるのかを知っています。
直ぐに運搬せず、偽装ナンバープレートを着けてコインパーキングなどに駐車しておき、警察の緊急捜査網が縮小した後で運びます。
一般の中古車と共に、トラックに積載して運搬させることもします。
まさに、木を隠すなら森の中状態です。
窃盗団は、不法な車両でも買い取るヤード主に買い取りを求めます。
もしくはヤード主から欲しい車種を、何時欲しいのかを発注します。
従って、加工ルートや販売ルートは多岐にわたります。
ある車両は“目玉抜き”さたり、“なます切り”されたりして、海外に不正輸出されます。
税関も目を光らせてはいますが、全てを臨検したりX線検査が可能な訳ではありません。
国内で高価なエアバッグを含めて、部品取りとしてバラバラにされて販売されることもあります。
盗まれた車が、見つかったとしても正常な状態で戻ってくるかは分かりません。
人様のモノを盗むような輩が、丁寧な扱いをするわけが有りません。
防犯対策も、究極と呼べる対策はありません。
しかし少しでも、対策をした方が確立が減ります。
一般社団法人日本損害保険協会のサイトに、自動車盗難事故実態調査が掲載されています。
https://www.sonpo.or.jp/about/useful/jidoshatounan/
ご自身の愛車が、車名別盗難のランクインしているようなら防犯対策をしましょう。
予算がある方は、車両保険にも加入して万が一に備えましょう。
万が一、被害に合ってしまったら・・・
①警察に電話する
②加入している保険会社に連絡
③ローン会社に連絡(ローンで購入した場合)
④県税事務所にて、課税を保留
⑤盗難された車が見つからない場合、陸運支局にて廃車手続き
を、進めましょう。
自動車を扱う“ヤード”の全てが“悪”な訳ではありません。
人の見た目で、善悪を見分けることが出来るような人はいません。
ただ、せめて必要な設置許可を持ち合わせているか否かなどは確認して、休有地を貸す売るなどしましょう。
犯罪が横行するような世の中にならないように、我関せずでは無く・・・
「お天道様が見てる」ような世であって欲しいですよね。
以上