2022.10.07
◇ はじめに
愛車が水没してしまう…
大型台風や、線状降水帯、ゲリラ豪雨などの気象条件により、近年では愛車が水没する危険が増えてきました。
水没車、水害車、冠水車、浸水車等々の状態を、自動車関連業界では“冠水車”といいます。
定義として、一般財団法人日本自動車査定協会の中古自動車査定基準によると、
“冠水車とは、集中豪雨や洪水などにより、室内フロア以上に浸水したもの、または、その痕跡により商品価値の下落が見込まれるもの”
と、なっております。
自動車関連業者間で売買される場合も、ほぼ同様の基準で表示されています。
本コラムでは、水害に被災した自動車を“水没車”と表記します。
私たち廃車工場の近松商会は、毎年、数台~数百台の水没車をスクラップ廃車してきました。
その経験から水没した車は、どうしたらよいかを項目別にまとめました。
~ 目次 ~
◇ 車が水没したらどうするのか?
[どんな時に水没車になるのか]
[水没車、エンジン始動できるのか?]
[水没した車を修理できるのか?]
◇ 水没車は中古車販売できるのか?
[水没車の見分け方]
[水没車に起こる不具合とは]
[買った後に水没車と分かったら]
◇ 水没車に保険は使えるのか?
[水没原因で補償範囲は変わります]
[保険特約とは]
[水没レベルで補償範囲は変わります]
◇ 水没した車はどうする?
[水没車を修理する]
[水没車を中古車にする]
[水没車を廃車にする]
◇ まとめ
[水没車の処理を判断する時のポイント]
雨の日、大きな水たまりだって、豪快に水しぶきをあげて走れるんだから…
そんなに簡単に水没なんてしない!などと思っていると危険です。
どんな時、どこから水没車になってしまうのでしょうか?
水没と言うと、大規模災害で、地域一帯が浸水して冠水してしまったのを想像しがちですよね。
実際、近年では線状降水帯による集中豪雨などの被害も絶えません。
その様な災害による水没だけではなく、
・アンダーパス
・大型の商業施設駐車場
などでも、水没車になるケースも多く発生しています。
冠水車の基準では、センターフロアパネル(車室内の床)まで浸水した場合を水没車に該当するとあります。
では、フロアパネルまでの高さは何センチぐらいなのでしょうか?
平成22年式プリウス(ZVW30)で計測してみました。
約30cmしかありません。
確かに自動車は、ある程度の防水性能があります。
しかし、ドアの開閉位置までの高さは約40cm弱です。
多少の水たまりを走破するなら、大丈夫なのでしょうが、浸水した道路を走るようには作られていません。
冠水したアンダーパスの最下部を数十メートルに渡り走るには、無理があります。
自動車の車室内の床下には、排気ガスを出すマフラーがあります。
エンジンが動き続けるのに空気は欠かせません。
吸気系(空気を取り入れる)と、排気系(排気ガスを出す)が継続出来なければエンジンは止まってしまいます。
冠水している道路が、マフラーの排気口より水位が高い場所で止まってしまえば、マフラーに水が侵入し排気ガスで押し出すことが出来なくなれば、エンジンは停止します。
冠水した道路を、勢いよく走り抜ければ大丈夫だと考える方も多いようですが、間違っています。
思い出して欲しいのは、水の質量による抵抗です。
プールにお腹から飛び込むと、腹打ちして痛いですよね。
同じように、深く浸水した道路にスピードを出して飛び込めば、自動車の前部分を破損する可能性が高いです。
バンパーなどが損傷するだけではなく、自動車の前方にあるラジエターを破損することもあります。
ラジエターが破損すると、すぐにはエンジン停止には至りませんが、数キロ走るとオーバーヒート状態になります。
オーバーヒート状態のままで走ると、エンジン損傷につながります。
また、冠水した道路を、勢いよく走りぬけるリスクとして“波”の発生があります。
特にアンダーパスなどの、閉ざされた道路が冠水している道路にスピードを出して飛び込むと、大きな波が発生します。
豪快に水しぶきをあげて走り抜ければ、その分だけ発生する波も大きくなります。
アンダーパスのように壁に挟まれていると、跳ね返りの波と干渉してさらに大きな波になります。
質量を持った水が、波となってマフラーに入ってしまう。。 十分に想像できますよね。
排気系のマフラーへの浸水だけではなく、揺り返しの波が吸気系に入り込むこともあります。
吸気系に入り込んだ水は、エンジン損傷につながります。
冠水しているアンダーパスの恐ろしさが分かりますよね。
歩道の縁石は、15㎝くらいです。
冠水時に縁石がヒタヒタ見え隠れしている状態、水深30cmくらいは危険と覚えておきましょう。
アンダーパスの横壁には、10cm・30cm・100cmとかの冠水ラインが記載されていることが多いです。
冠水10cmなら、静かに波を立てないようにしつつ、マフラーから水が浸水しないように低いギアでアクセル開度を一定にして走れば、抜けられる可能性もあります。
しかし、長い距離のアンダーパスの場合、途中で停車してしまうリスクが高いので迂回した方が無難です。
冠水30㎝も、同様の方法で走れる可能性は残りますが、リスク高いので回避ルートを探した方が無難です。
冠水100cm、つまり1メートルは… 絶対に無理なので突っ込んで行かないようにしてください。
では大型の商業施設駐車場で発生する水没とは、どのようなケースでしょうか。
市町村により相違しますが、工場や商業施設を作る時には、施設から出される雨水流出量を算定しなければなりません。
算定された雨水量以上の排水がなされないように、排水口の大きさを調整しなければなりません。
地域排水河川への流入量を調整するように、行政から求められているのです。
計算された以上の雨水が発生したに備えて、“洪水調整池”の設置を求められる場合があります。
調整池を設置しないと、開発許可が出されないために、施設設置側は調整池を作ることになります。
大きな調整池をつくる土地スペースが無い場合や、スペース有効活用したい場合の手法として、駐車場を調整池とする場合があります。
普段は、駐車場として活用しているスペースを、少し低くします。
その駐車場からの排水流出量を調整することで、調整池としてスペース有効活用するのです。
有効活用できる反面、降雨時には駐車場が池と化します。
ゲリラ豪雨などの、短時間で激しい雨が降った場合などには、駐車場からの退避が間に合わないケースもあります。
買い物をして、管内アナウンスに気づかないとか、商業施設のシネコンで映画を見ていて知らなかったなどのケースもあります。
激しい降雨が予想される場合は、施設駐車場の設置看板を確認する必要があります。
水没車にならないようにするためには、低い場所には駐車しないこと、冠水した道路は走行しないことが肝心です。
どこから水没になるのかは、マフラーであったりフロアーを越えたりすることに加えて、フロアー下部のパッキン/フロアーゴムキャップを越えて浸水してくることもあります。
トランクやフロアーに水が溜まってしまった際に、このゴムキャップを外して水抜きをするのですが、コーキングしてある訳ではないので、万全の防水機能はありません。
様々な理由から、水没車になる可能性はあります。
主なケースとして、駐車していて水没になる場合と、走行していて水没になる場合があります。
駐車していた車が水没してしまった場合、エンジン始動できるのか?
答えは、始動させてはダメです。
では、走行している状態で、水没しエンジンが停止したらどうするのか?
答えは、再始動させるのはダメです。
なぜ、水没車したのエンジンをスタートさせたらダメなのでしょうか?
なぜならエンジン内部まで浸水していた場合、無理にエンジン始動させようとすると破損する可能性もあります。
また、水没車は電気系統に悪影響を与えていて、最悪の場合は発火する可能性もあるからです。
駐車していた水没車のエンジンをしどうさせようとしたり、走行中に水没してエンジン停止した場合に、エンジン再始動させようとする行為はエンジン破損につながります。
エンジン停止した原因にもよりますが、吸気系から水を吸い込めばエンジン燃調が悪くなり白煙を吹きます。
また、排気系のマフラーからや、エンジンオイルキャップ等からエンジンの内部に水が入ると、ウォーターハンマー現象でエンジンが壊滅的なダメージを受けます。
自動車エンジン内部のシリンダー内を動くピストンは、エンジンオイルが潤滑油としています。
エンジン内部に水が入ると、潤滑が悪くなりピストンでの圧縮がスムーズに出来ません。
スムーズに動かないことで、ピストンの動作を回転軸に伝えるコンロッドが曲がってしまうことで、エンジンブロック破損などの壊滅的なダメージにつながります。
自動車の電気系統は、自動車のバッテリーに始まり、ワイヤーハーネスと呼ばれる電気配線を通じて電気を流しています。
ワイヤーハーネスは、カプラー端子でエンジンを始めとする自動車の各部位に電気を送っています。
水没に至る、雨水は見た目そんなに汚れていなくても、多くの不純物を含んでいます。
不純物を多く含んだ状態での通電は、カプラー端子部分のショートによる車両火災になるケースもあります。
さらに怖いのは、不純物を含んだ状態では感電事故も発生します。
ましてや、HV車(ハイブリッド車)やEV車(電気自動車)には、駆動用バッテリーが搭載されています。
通常の始動用バッテリーは12V(13.8V)に対して、ハイブリッド車の駆動用バッテリーの電圧は100V~700Vと高い電圧です。
ハイブリッド車での感電は、バッテリー回路の+-端子に直接触れるか、バッテリー回路の片側端子と車台の絶縁状態が悪いと起こります。
水没した状態では、不純物を介して絶縁状態が悪くなり、最悪のケースでは感電死もありえます。
そのような理由で、水没車のエンジンを始動するのはダメなのです。
レッカー会社に依頼して、販売店や修理工場に搬入しましょう。
ご自分で搬入するのは、あきらめた方が無難です。
もし、車両メンテに関して多少の知識がある方ならば、始動用バッテリーのマイナス側端子を外しておけば発火等の危険度が下がるので安心です。
ちなみに、バッテリーの赤いカバーの方がプラス端子です。
マイナス端子は、バッテリーからボディにつながっています。
水没した自動車のエンジン始動が危険な事は理解して、修理業者さんにレッカー搬送してもらったが…
はたして、水没した車は修理可能なのでしょうか?
水没した、まわりの状況
塩水 (海水) |
泥水(大) (淡水) |
泥水(中) (淡水) |
泥水(小) (淡水) |
淡水 (淡水) |
修理困難 | 修理困難 |
修理困難/ 修理可能性あり |
修理可能性あり | 修理可能性あり |
水没した、車の状態
天井まで浸水 | ハンドルまで浸水 | シート上まで浸水 | フロアーまで浸水 | |
エンジン 始動する |
修理困難 | 修理困難 |
修理困難/ 修理可能性あり |
修理可能性あり |
エンジン 始動しない |
修理困難 | 修理困難 | 修理困難 |
修理困難/ 修理可能性あり |
廃車に至った、多数の水没車を観てきた感覚で修理不可か否かを判断しました。
年式が新しいなどの場合は、この限りではありません。
また高額車の場合も、この限りではありません。
修理可能かどうかは、搬入した修理工場さんと相談してください。
悪質な業者の場合、水没車を二束三文で買い受け、手直しして販売する業者も存在しています。
しかし、水没車した車は、修理できても経年劣化以上に水没車特有のトラブルが後々発生する可能性が高いです。
修理する場合も、中古車で売払う場合も、次の項を参考にしてください。
水没車を修理する場合も、中古車で売払う場合も、その水没車に後々発生するトラブルとは、どんなモノでしょうか。
水没車を修理可能する場合のダメージ係数が高いのは、上記の表のとおり“泥水”です。
海水などの塩水まじりのダメージも同じ要因です。
問題は、泥水の不純物、顆粒状の微粒な泥です。
泥顆粒子は、自動車の内部の隙間という隙間に潜り込んでゆきます。
フロアーカーペットや、シート生地、クションスポンジ、ハーネス部接続カプラー、各制御コンピューター類(ECU)、シートベルトのアンカー部などの隙間という隙間に、泥水と共に運び込まれます。
外観の泥汚れは洗車すれば、見えなくなります。
しかし、内装の裏側までは洗車できませんよね?
その内装の裏側を確認すると、水没した時の浸水ラインが確認できることがあります。
また泥水は、シート、フロアーカーペット、シートベルトなどの布地繊維の奥まで泥は入り込みます。
その結果、例えば夏場に車室内の温度が上昇した際などは、下水道のような悪臭が発生することが多いです。
悪臭が発生しているのなら、繊維の奥はカビや雑菌が繁殖していることでしょう。
また、不純物を含む泥水に浸水された場合は、シート金具やクションスプリング、サスペンション等々が年式以上に錆びています。
特に、シート下部の金属部品や、コンソール内の金属ステーなどは、防さび塗装が薄い場合や、そもそも塗装してない部品が多いので、通常なら錆びない個所や部品が錆びていることが多いです。
つまり、水没車の見分け方としては3つ。
①浸水ラインをみつける
②車室内に異臭がしないかを感じ取る
③異常な錆び部分が無いか確認する
水没車を疑う場合、内装の内張りを外すのは、難しいですですよね。
①浸水ラインをみつける方法として、シートベルトを確認しましょう。
巻き取られていたシートベルトに、泥水の汚れが残っていることが多いです。
②車室内に異臭がしないかを感じ取る方法としては、自動車エアコンを内気循環状態で暖房をかけましょう。
繊維にしみ込んだ悪臭をあぶるだけではなく、エアコン空気循環されるブロアファンなどの内部にも悪臭が残っていることが多いです。
③異常な錆び部分が無いか確認する方法は、対比しないと年式相応のサビなのかはわかりにくいです。
最も手軽な方法として、運転席や助手席のシート下にスマートフォンを入れて、シート裏側を撮影しましょう。
通常なら、サビる事が無いシートスプリング類に異常が見つかれば、怪しさ満杯ということになります。
中古自動車販売で、一番気をつけなければならないのは相場より安い車です。
市場価格よりも安い車には、訳があることが多いです。
実際に起こる、水没車の不具合は電気系統の不具合発生が多いです。
エンジンなどの機能部品には、不具合は発生しないのでしょうか?
エンジンや、トランスミッション内が浸水した場合、深刻なダメージを受けるのでスクラップ廃車に至る事が多いです。
それでも、エンジンを分解整備してレストアさせることは可能です。
その場合、水没した後にエンジンスタートを試みないことが条件です。
一度でもエンジンを始動させると、泥水の細かな砂がエンジン内部を細かなキズが発生します。
エンジン内部損傷が、小さなものでも潤滑油の巡り具合に悪影響が出るからです。
水没履歴がある自動車を乗り続ける際に、エンジンなどの機能部品に浸水した可能性があると白煙を出すなどの劣化トラブルに見舞われるでしょう。
では多く発生する可能性が高い、電気系統のトラブルとはどのようなものでしょうか?
電気系統をつなぐ、カプラー内に泥水が浸水したり、様々な電子部品を制御するECU(半導体やIC基盤など)に浸水したりすることで不具合が起こります。
通常、防水性能を車室内には施してありません。
家屋内の家電製品や、パソコンのCUPだって防水機能が無いのと同じです。
水没して、運よく半導体などが動いてくれれば、一見して電気系統のトラブルは無かったように思われがちです。
しかし、配線をつなぐカプラー内に浸水した泥水は、時と共に端子を腐食させます。
腐食した端子は、接点不良で動かなくなったり、異常動作を繰り返したりします。
水没した車は、冠水した機能部品や電子部品は、時限爆弾みたいなものです。
時限爆弾のタイマーが、1週間後なのか、1年後なのか、10年後なのかは運次第ということになります。
水没した車に乗る事のリスクは、ご理解頂けたでしょうか。
中古車市場価格より、安価だからとリスクを承知で冠水履歴のある中古車を購入される方もいます。
納得した上で、冠水履歴のある車を買う訳ですが、新車販売店ではリスクが高すぎて販売されることはありません。
では後々、発生する水没車のリスクを隠して、中古車販売されたらどうなるうのでしょうか?
そもそも、中古車販売時には「修復履歴」の有無を表示するルールがあります。
この修復履歴は、「事故履歴」ではありません。
また修復履歴の定義に「冠水履歴」は含まれません。
修復履歴とは、自動車の骨格を修理したり交換した場合を指します。
自動車の骨格とは、ねじ止めされている箇所を除く、サイドメンバー・クロスメンバー・インサイドパネル・ピラー・ダッシュパネル・ルーフパネル・フロア・トランクフロアです。
サイドメンバーが、良く言うフレーム部分のことです。
鈑金修理業者がフレーム修正を施すと、修復履歴有りの車両となります。
自動車の骨格を修理したり交換しない場合には、修復履歴になりません。
事故をしてフロントバンパーや、フェンダー、ボンネット等を交換しても、中古車販売時には告知義務はありません。
同様に、自動車の骨格を修理していない水没車を中古車販売する際には、告知義務が無いと伝えるサイトが多いです。
確かに修復履歴にはならないですが、中古車を買い求める際に冠水履歴の有無は、きわめて重要な判断基準であります。
中古車販売店が、水没車に関して虚偽の説明などをしたのなら問題が多いです。
中古車を販売する際、「冠水車」であるにもかかわらず、「冠水車」ではない等の虚偽の表示・説明をした場合はもちろん、「冠水車」であることを表示・説明しなかった場合も不当
表示に該当し、景品表示法第31条に基づく公正競争規約に違反することになります。
つまり、不当表示です。
通常、中古車販売にはクーリングオフは適応されません。
しかし、水没車だと判明した場合には民法95条及び96条に基づき、契約の取り消しを求めることができます。
民法95条1
“意思表示は、次に掲げる錯誤に基づくものであって、その錯誤が法律行為の目的及び取引上の社会通念に照らして重要なものであるときは、取り消すことができる”
民法96条1
“詐欺又は強迫による意思表示は、取り消すことができる”
ただ、水没車であることを隠して販売するような業者が、契約の取り消しに素直に応じてくれるか…?
逆に、冠水履歴があることを隠して愛車を転売した後に、契約の取り消しを求められたら…?
水没車を中古車販売するのは、リスクが高いということになります。
水没車に保険は使えるケースはあります。
ご自身の加入している任意保険で愛車が浸水にあった際に、補償されるか否かが変わります。
万が一の時のために、確認しておきましょう。
もちろん、車両保険に加入していないとダメです。
保険会社によって、補償範囲は違いますので下記は参考程度にしてください。
自分の車を、保険で補償してくれるケース
・台風
・高潮
・洪水
自分の車を、保険では補償出来ないケース
・津波
・地震
・噴火
そして注意しなければならないのが、対物の補償です。
洪水などの水災で、自分の車が流されてしまい、他の車とぶっかったとか、建物にぶつかり損害を与えた場合などは自動車保険では補償されません。
このケースでは、法律上では倍賞責任は発生しないからです。
水没時の車両保険の補償範囲は、台風/洪水/ゲリラ/は大丈夫です。
対物及び、予測できない地震/津波など自然災害の場合は、補償されないと覚えておきましょう。
また水災だからと言っても、水没車に車両保険を使えば「保険等級」は下がります。
任意保険を提供している企業によっては、様々な保険特約を設定しています。
よく聞くのが、「弁護士特約」で、事故後のトラブルに弁護士が対応してくれる類のものです。
通常なら水没原因で、保険がおりる、保険がおりないケースがあります。
車両保険も、一般型とエコノミー型では補償範囲が違います。
同様に、保険特約も様々な商品が存在します。
水災に有効な特約の一般名としては、
・車両新価保険特約(新価特約)
・車両全損修理時特約
・地震・噴火・津波車両全損時一時金特約
の、3つです。
加入している保険会社によって、呼び名も名称も条件も違います。
以外と安価な金額で保険特約を追加できるので、気になる方は加入保険会社に相談してみましょう。
契約期間の途中からでも、特約を追加することができるので、相談だけでもすることが肝心です。
車両保険に加入してても、その水没レベルによって補償範囲は変わります。
また、保険会社によって補償する範囲も違います。
自動車オーナーとしては、水没車は全損にして欲しいところですが、半損のケースも多々あります。
もちろん、修理金額が加入している車両保険金額以上となれば、全損です。
確実に全損扱いになるのは、ルーフまで水没した場合や、浸水によりエンジンに深刻なダメージがある場合です。
弊社に全損として入庫してくる車両を観てみると…
・マフラーまで浸水
・座席まで浸水
・フロアーまで浸水
で、全損になるケースが多いですね。
また、冠水した水質にも影響を受けます。
海水(塩水)や、泥水が激しい場合は、自動車の床面フロアー冠水で全損になるケースが多いです。
どのケースも、保険会社によって違います。
どちらかと言うと、大手の保険会社さんの方が、あっさりと全損を出してくれます。
ネット系の会社さんは… ?ですね。
水災被害では生活の足である自動車だけではなく、生活基盤そのものにダメージを受けてしまいます。
だからと言って、水没した車をどうするのかを早々に決断しないと、日常生活に支障が発生しますよね。
修理する/中古車で転売する/廃車にするの、3パータンが考えられます。
水没した車を修理することを候補にするなら、最低条件としては下記の事が考えられます。
・冠水した水質が、淡水の場合
・水没レベルが、フロアー冠水程度
・エンジンに浸水してない
修理をしても、完全には元通りには戻りません。
発生する可能性が高いトラブルは、[水没車に起こる不具合とは] を参照してください。
水没由来のトラブルがいつ発生するかもしれない、時限爆弾だということを忘れないで下さい。
水没した車を修理した、修理していない関わらず中古車として転売する際の最低条件としては下記の事が考えられます。
・冠水履歴の告知
・水没由来の故障時の補償範囲
水没車の場合は、通常の相場通りの中古車買取り価格は望めません。
それでも中古車販売した場合に想定できるトラブルは、[買った後に水没車と分かったら]を参照してください。
つまり軽い水没なら、中古車にせずに乗り続けた方が経済的であることが多いです。
[2022年10月追記]
2023年10月に予定された自動車公正取引協議会の“中古車の支払い総額表示義務化”に合わせて“冠水車”に関しても変更がありました。
「冠水車であるにもかかわらず、虚偽の表示及びその旨を表示しないことにより、冠水車ではないように一般消費者に誤認されるおそれのある表示」
を、不当表示の禁止規定と、規約改正される予定となりました。
不当表示の場合、厳重警告や違約金発生となります。
この改正予定の、自動車公正取引協議会の規約では「冠水車であることの告知」が必要と明記されることになります。
しかし、未加入な業者はこの限りでは無いことにも、注意が必要ですよね。
イザという時の車両保険に、加入していない場合。
また車両保険に加入していたが、半損しかおりなかった場合。
乗り続けることが困難であるとか、中古車の買取りでは査定金額が無かった場合。
水没した車は、早々に廃車することを候補にしましょう。
水災の場合、行政からは「罹災証明」が発行されます。
大規模な水災害時には、自動車税支払い期限の延期措置や、車検有効期限の延長措置なども行われます。
例えば、東日本大震災後には「被災自動車に係る自動車重量税の特例還付」や、「被災自動車の買換えに係る自動車重量税の免税(被災自動車の使用者の方)」などが行われました。
愛車を廃車にすることは、とても悲しいことです。
しかし修理するか、修理しないで廃車にするかを迷っている内に、車は錆びたり、機能部品が固着したりして劣化してしてゆきます。
水没してなんの処理もされていない自動車の劣化は激しく、通常のスクラップ廃車作業より多くの手間が発生します。
私たちは、自動車リサイクルに関わる者の社会的使命として、水没車であっても可能限りの受入は実施します。
また、可能限りの廃車買取り金額をお支払いいたします。
水没車のSRSエアバックは、防弾チョッキ並みのアラミド繊維でのカバー装着で車上作動を試みます。
しかし、ECUが水没していると、エアバック作動しないケースも多いです。
エアバック作動しない場合は、エアバックインフレーターを全て取外しする必要があります。
廃車手続きを確実にして、リサイクル作業を確実にしてくれる業者を選んで、廃車買取りを依頼することが肝心です。
ポイント(1)
希少な車両や、高額な車両の場合は修理してみることを第一候補にしましょう。
ポイント(2)
修理して乗り続ける際には、水没車に起こるトラブルを覚えておきましょう。
ポイント(3)
修理する修理しないに関わらず、中古車転売も視野に入れましょう。
ただし、冠水履歴があることを隠すと、大きなトラブルにつながるので必ず告知しましょう。
ポイント(4)
(1)~(3)を選択しない場合は、早々に廃車を買取りしてもらいましょう。
以外と、(3)中古車転売より、リサイクル部品を有効に活用する廃車工場の方が、買取り金額が高いケースもあります。
水没車にならないのが、一番です。
・冠水した道路には、侵入しないこと
・地域のハザードマップを確認しておくこと
水害発生時には、事前に天気予報などで“起こりうる未来”を予想できます。
昔から、この辺は浸水したことが無いから大丈夫などという“正常バイアス”から脱却しましょう。
近隣住民が避難していないから、まだ大丈夫だなどの“同調バイアス”も危険です。
加入してる、自動車保険内容を確認する。
自分自身、自分の家族、自分の家財。
自分の愛車を、守れるのはアナタ自身です。
イザと言う時には、早めの行動をしてください。
以上
私たちは、不要なお車を買取りしています
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