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2022.04.19

ディスチャージ?HID?それともLED?!

ディスチャージ?HID?それともLED?!

 

 

◇ はじめに

 

夜間に、車を走らせるときの必須アイテムと言えば「ヘッドライト」ですよね。
でも、

交差点とかで他の車と並んだ時に、自分のヘッドライトの色がオレンジ色っぽいとか、黄色っぽく見えませんか?

もしくは、隣車のヘッドライトが暗く感じませんか?

それは、ヘッドライトの「バルブ(電球)」の違いであることが多いんです。

 

自動車に搭載される、様々なバルブ(電球)の種類

自動車に搭載される、様々なバルブ(電球)の種類

 

 

 

 

 

 

◇ キセノン・ディスチャージ・HIDの違いは?

 

呼び名が違うだけで、全て同じものです。

 

キセノン・ディスチャージ・HIDのランプの正式名称は「高輝度放電ランプ」です。

高輝度放電ランプを英語で書くと“High Intensity Discharge Lamp”になります。
その“High Intensity Discharge”の頭文字を取ったのが、HIDヘッドライトです。

 

“High Intensity(ハイ・インテンシティ)”“Discharge(ディスチャージ)”の、ディスチャージだけを呼び名にしたのが、ディスチャージヘッドライトです。

 

HIDバルブ

HIDバルブ

 

では、キセノンヘッドライトが同じものと言う理由は、何でしょう。

“Xenon(キセノン)”は、バルブ内に充填された、ガスの名称です。

 

 

高輝度放電ランプが、自動車に搭載され始めたのが1990年代半ば頃からです。
91年にBMW7シリーズに、96年に日産テラノが、同じく96年に三菱フソウのスーパーグレードが大型トラックにも、この高輝度放電バルブを採用したヘッドランプを搭載しました。

 

あの頃は、大型トラックであるスーパーグレードのような商用車に装備されことは、夜間に長距離を走るドライバーのあこがれになりました。

 

各自動車メーカーが、高輝度放電ランプを採用する際に、キセノンヘッドライト採用!とか、ディスチャージヘッドライト搭載!とか、HIDヘッドライト装備!とか、様々な呼び名をつけたことが、複数の呼称になった要因です。

 

しかし最近では、HIDヘッドライトと呼ばれることが多いようなので、本稿では以下“HID”と呼びます。

 

HIDの仕組みは、キセノンガス等をバルブ内に充填し、バルブ内の電極間に高放電をかけることで充填ガスが発光します。

放電現象のために、電流を安定させるバラスト(安定器)を必要とします。
家庭用の蛍光灯と、ほぼ同じ仕組みです。

 

HIDバルブは、放電の青白い光を放つ

HIDバルブは、放電の青白い光を放つ

 

HIDは、ピカっ!と灯らずに、ぼわ~っと青白く光が集まり、その後光が安定して白く点灯します。
白く点灯しても、ハロゲンヘッドライトより消費電力が少なく発熱も少ないです。
そのため、冬場の雪道ドライブではヘッドライトに貼り付いた雪が融けにくい場合もあります。

 

また、ハロゲンバルブよりも電気使用は高効率で長持ちします。
フェラメントに電流を流して光を放つ白熱電球と違い、電極間に放電させる仕組みなので断線する心配はありません。

 

白熱バルブより、明るくて長持ちするHIDバルブを使用した車が多くなるのも当然でした。

 

 

 

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◇ ハロゲンヘッドライト

 

では、ハロゲンヘッドライトのバルブは、どうなっているのでしょうか?

 

ハロゲンバルブ

ハロゲンバルブ

 

ハロゲンバルブは、フェラメントに電流を流して光を放つ白熱バルブと同じです。

白熱バルブ内は、フェラメントが燃え尽きてしまわないように真空に近い状態にしたり、不活性ガスが封入されています。

 

その不活性ガスの種類が、ハロゲンガス及び、窒素、ヨウ素、フッ素などが充填されているバルブが、ハロゲンバルブです。

 

バルブの交換性や価格の面でも優秀なので、自動車ヘッドライトでは数多く採用されています。
このハロゲンバルブが出てくる前は、オールグラスシールドビームというレンズとリフレクターとバルブが一体になったランプが使われていました。

 

オールグラスレンズのシールドビーム

オールグラスレンズのシールドビーム

 

そのシールドビームに比べて、明るくて長持ちするハロゲンバルブを使用した車が多くなるのも当然ですよね。

多くのメーカーが、2010年頃までに生産中止し廃番しているようです。
クルマによっては、オールグラスシールドビームの方がリフレクター反射が良いというオーナーさんも多いようですが、電球交換式セミシールドビームに代替え品が販売されているのみです。

 

 

フェラメントに電流を流して光を放つ構造なので、フェラメントが切れてしまうと光りません。

フェラメントの寿命が近づくと、振動などの衝撃でも切れてしまうので点灯中にいきなり明かりが消えてしまうことが起こります。

 

ハロゲンバルブ内のフェラメントがオレンジ色に発光している

ハロゲンバルブ内のフェラメントがオレンジ色に発光している

 

通電による電熱で点灯しているので、HIDバルブより電気使用量は多いです。
その分、冬場の雪道ドライブではヘッドライトに貼り付いた雪は融けやすいです。

 

HIDバルブが量産され安価になった現在でも、HIDバルブより安価なので採用されている車は多いです。

 

 

 

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◇ LEDヘッドライト

 

では、 LEDヘッドライトのバルブはどうなっているのでしょうか?

 

LEDバルブ(安価なタイプ)放熱フィンが無い

LEDバルブ(安価なタイプ)放熱フィンが無い

 

LEDバルブの内部は、発光ダイオードです。

 

LEDとは、“Light Emission Diode”の略で、チップと呼ばれる半導体が発光します。

 

 

チップが発光する現象を、かなり省略して言うならば、(+)プラスと(-)マイナスの電気がぶつかりひっついた際に、お+-が持っていた余分なエネルギーが光となります。

 

LED電灯光るは電子がぶつかり合うから

LED電灯光るは電子がぶつかり合うから

 

電子の流れる向きと、電流の流れる向きが重要なポイントなので、自動車に搭載する際にも、(+)プラスと(-)マイナスの配線が間違うと点灯しません。

 

 

小学校の理科では、電流は(+)プラスから(-)マイナスへ流れると教わりましたよね。

 

白熱電球はプラスマイナスの向きは関係無く光る

白熱電球はプラスマイナスの向きは関係無く光る

 

白熱電球を光らせるには、電源と白熱電球を結線すれば発光します。

 

その時の白熱電球は、プラス極(+)マイナス極(-)もありません。
白熱電球、どちらの線につないでも点灯します。

 

白熱電球はマイナスプラスでも問題無く光る

白熱電球はマイナスプラスでも問題無く光る

 

しかし電子は(-)マイナスから(+)プラスへ流れます。
LEDは、正しい方向に電圧を加えないと発光しません。

 

LEDのプラス極(+)マイナス極(-)の正しい接続して電圧を加える方向は、正しく電流を流せる方向となります。

 

LED電灯はプラスマイナスの向きが重要

LED電灯はプラスマイナスの向きが重要

 

LEDバルブは、消費電力が小さく、寿命も長いだけではなく、小さなチップですので電球と違い自由なレイアウトデザインが可能です。
そういった点では、LEDバルブをバルブ(電球)と球呼ばわりするのは微妙になるかもしれませんね。

 

 

青色発光ダイオードの発明のおかげで、白い発光のバルブが開発されてから、一気に普及してきました。
ハロゲンバルブやHIDバルブより、長寿命で電気使用量も少ないです。
発光する仕組みが熱効率に由来しないので発熱は無いことから、冬場の雪道ドライブではヘッドライトに貼り付いた雪は融けません。

 

そのため、

LEDヘッドライト装備の車両には、ヘッドライトウォッシャーが装備されます。

ヘッドランプウォッシャー作動前

ヘッドランプウォッシャー作動前

ヘッドランプウォッシャー作動する瞬間

ヘッドランプウォッシャー作動する瞬間

ヘッドランプウォッシャー作動により、ヘッドライトの融雪をさせる

ヘッドランプウォッシャー作動により、ヘッドライトの融雪をさせる

 

ウォッシャー液を噴きかけることで、融雪をさせますが光が白すぎて、白銀の雪景色の場合は物足りなさを感じることもあります。(レヴォーグ搭乗している筆者の感想)

 

ただ半導体で作られることから、ハロゲンバルブやHIDバルブよりも価格は高くなっています。

 

 

 

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◇ どのヘッドライトが一番明かるのか?

 

様々な明るさの種類と、ヘッドライトの形状やレンズの模様、反射板の加減があるので車種毎で違います。

 

ハロゲンヘッドライトのリフレクター(反射板)

ハロゲンヘッドライトのリフレクター(反射板)

 

しかし一般的には、バルブ単体の性能で考えると
1位:HID
2位:LED
3位:ハロゲン
と、なります。

 

HIDバルブが一番明るい

HIDバルブが一番明るい

 

じゃ、一番明るいHIDだけにすればと考えても結局は、メーカー純正で搭載されているバルブが、一番その車両にマッチしています。

 

また、同一車種のヘッドライトで、HID、LEDが選択オプションだったりする場合は悩ましいですよね。

 

そんな場合は、カタログデーターでルーメン値、ワット数を確認しましょう。
ほとんどの場合、この数値が大きければ大きいほど明るいヘッドライトです。

 

 

気を付けなければならないのが、

社外のHIDバルブに交換する場合です。

ルーメン値が高くなればなるほど、相反するケルビン数は下がるので青白い光になります。

 

車検でのヘッドライトの検査基準は、白色もしくは淡黄色でなければならないです。
また光度の検査基準は、1灯に対し6,400カンデラ以上となっています。

青白い光でドレスアップしたくて、ルーメン値の高すぎるバルブにすると色も光度も違反となってしまう可能性が出てきます。

 

 

様々な単位がありますが、

ケルビン(k)とは色温度を表す単位で、3000k黄色<6000k白<12000k青白の色合いになります。

 

ルーメン(lm)とは光束の量の表す単位で、数値が大きいければ明るくなります。

 

カンデラ(cd)とは光度を表す単位で、光源から出る光で照らされた一番明るい部分の数値で大きいければ明るくなります。

 

 

カンデラは方向への光の強さ、ルーメンは全ての方向への光の強さです。
従って、ヘッドライトのレンズ形状や反射板の形状で変わります。

 

HIDバルブが一番明る光ります

HIDバルブが一番明る光ります

LEDバルブも十分な明るさがあります

LEDバルブも十分な明るさがあります

ハロゲンバルブは、オレンジ色っぽく見えます

ハロゲンバルブは、オレンジ色っぽく見えます

 

 

 

結局は、メーカー純正で搭載されているバルブが、一番その車両にマッチしているという事になるがちです。

 

 

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◇ 違う種類へのバルブ交換はできるのか?

 

純正ハロゲンバルブから、HIDバルブに交換とか、純正ハロゲンバルブからLEDバルブに交換することは出来るのでしょうか?

 

また、逆に純正HIDからハロゲンバルブに、純正LEDバルブからハロゲンバルブへの交換は可能なのでしょうか?

 

上から、HIDバルブ、ハロゲンバルブ、LEDバルブ

上から、HIDバルブ、ハロゲンバルブ、LEDバルブ

 

過激な加工をすれば、どんな交換でも可能なのでしょうが、量販店なので入手可能な市販品の取換えキット等が存在するのはハロゲンバルブから、HIDかLEDに交換する取換えキットです。

 

探してみると、HIDやLEDから、ハロゲンバルブに変更する配線カプラー等も存在しますが自己責任での品物が多いです。

 

 

結論として、ハロゲンバルブからHIDバルブやLEDバルブに交換するのは、社外の市販品を利用すれば可能です。
その逆は、可能ですが社外の市販品は少ないです。

 

HIDやLEDバルブから、ハロゲンバルブに交換するのは、ヘッドライトに貼り付いた雪を融かすことくらいしかメリットがありません。

 

 

また、ヘッドライトの形状やレンズの模様、反射板の加減でヘッドライトバルブを交換したからと言って、希望通りの効果がでる保証はありません。

 

 

結局は、メーカー純正で搭載されているバルブが、一番その車両にマッチしているという事になるがちです。

どうしてもバルブ交換したい場合に、外れが少ないのはLEDバルブへの交換です。
ポン付け出来る交換キットも数多くて、気に入らない場合は元に戻すの事も容易な場合が多いです。

 

ただ、発熱しないLEDチップですが、バルブ本体は発熱します。

 

LEDバルブ、黒い部分の放熱フィンで冷却している

LEDバルブ、黒い部分の放熱フィンで冷却している

 

安物のLEDは放熱フィンが不足しており、熱対策されたLEDバルブより寿命が短くなります。
熱対策されたLEDバルブは大型になりがちと、覚えておきましょう。

 

 

HIDバルブへの交換は、バラストの設置が必要である程度のスペースが必要です。
配線や取付に加工が必要な事が多く、

イグナイターにより12Vから数万ボルトに昇圧されている高電圧の配線取扱いになるので誤配線などから大きな損傷につながるケースもあるからです。

 

最悪な場合は、車両火災にもつながりますので、安易な配線加工は避けたいところです。

 

 

 

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◇ おわりに

 

急速に普及しつつある、

EVに必要なのは省電力なLEDバルブでしょう。

夜間ドライブ頼りは、ヘッドライトです。

 

その明かりを灯す、バルブには信頼の出来る性能が欲しいですよね。

 

ヘットランプのバルブには明るさだけではなく信頼性や耐久性が求められる

ヘットランプのバルブには明るさだけではなく信頼性や耐久性が求められる

 

 

 

時代と共に、変化してゆくヘッドライトの電球。
もはや電球とは呼べない、センサー類に置き換わって行く日も近いかもしれませんね。

 

 

以上

 

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